分類の早見表
第2回の最初の判断基準です。修正した基準は、アノテーションと一緒に保存してください。
アノテーションの項目
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 主体 | 移動する、または移動を命じられた人物など。判断できなければ空欄 |
| 方向 | 上昇・下降・その他、または「判断を保留」 |
| 移動は起きる? | 下の表の判断、または「判断を保留」 |
| 根拠 | 本文の表現、命令・否定などの手がかり、判断の理由 |
ワークシートには表現と箇所が入力済みです。自分で表を作る場合は、表現、部(一・二・三)、箇所を特定できる前後の語句も記録してください。
出来事の事実性
出来事の事実性(event factuality)は、判断の出所が出来事をどう述べるかを表します。今回は出所を語り手に固定し、移動する主体と区別します。FactBank §3.3.3の三つの値を授業用に簡略化した基準です。
| 記入する判断 | 意味 | コード |
|---|---|---|
| 起きる・起きた | 語り手は、その移動が起きる、または起きたと述べている | CT+ |
| 起きない・起きなかった | 語り手は、その移動が起きない、または起きなかったと述べている | CT- |
| 起きるか示されていない | 命令・条件などで、起きるかが示されていない | Uu |
コードは出所の判断を表し、受講者の自信は表しません。前半が確実さ、後半が起きるかどうかです。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
CT |
certain(確実) |
U |
uncertain / uncommitted(知らない・判断を示さない) |
+ |
positive(起きる) |
- |
negative(起きない) |
u |
underspecified(特定されていない) |
自分が判断を選べなければ「判断を保留」とし、根拠欄に理由を書いてください。命令・条件を根拠に「起きるか示されていない」と判断できることとは別です。
のぼれなくなってしまいましたでは、登り続ける移動を「上昇」「起きない・起きなかった」と分類します。それ以前に登ったこととは区別します。
下りろの三つの役割
判断の出所:語り手
犍陀多が叫んだことを伝える
命令する人物:犍陀多
「下りろ。下りろ。」と喚く
主体:罪人たち
命令された下降。方向は「下降」、判断は「起きるか示されていない」(Uu)
ほかのアノテーション体系とは、どう関係しますか?
- FactBank(Saurí 2008):出所ごとの確かさと肯定・否定。出所の入れ子も扱います。今回は語り手と三つの値に限ります。
- 拡張モダリティ(松吉ほか2011):日本語の事象について、態度表明者、真偽判断、仮定的な文脈などを記録します。Kamiokaほか(2015)は、このコーパスで事実性を分析しています。
- TimeML 1.2.1(ISO 24617-1):出来事の時間、肯定・否定、モダリティを記録します。BCCWJ-TimeBankは日本語への適用例です。
FactBankの確かさと肯定・否定は、どう組み合わさりますか?
前半のCT・PR・PS・Uは、それぞれ一つの確かさのコードです。後半は肯定・否定を表します。Roser Saurí(2008)『FactBank 1.0 Annotation Guidelines』§3.3.3・表1の値を、二つの軸で並べた表です。
| 出所が示す確かさ | 起きる+ |
起きない- |
肯定・否定は示されていないu |
|---|---|---|---|
CT:certain(確実) |
CT+ |
CT- |
CTu |
PR:probable(おそらく) |
PR+ |
PR- |
PRu |
PS:possible(可能性) |
PS+ |
PS- |
PSu |
U:uncertain / uncommitted(知らない・判断を示さない) |
— | — | Uu |
色を付けた値を授業で使います。Uuは、出所が出来事の起きるかどうかを知らない、または判断を示していない場合です。
作例の彼は彼女が登ったかどうかを知っているでは、「彼」は答えを知っていますが、読者には答えが示されていません。この「彼」の判断をCTuと記録します。
CTu:判断の出所は「彼」
語り手
彼が知っていることを伝える
判断の出所:彼
彼女が登ったかどうかを知っている(CTu)
主体:彼女
登る。本文は、登ったかどうかを読者に示さない
比較すると、作例の彼は登ったはCT+、彼は登ったかもしれないはPS+です。
確率のラベルなど、今回の三つ以外が必要なら「判断を保留」とし、足りない区別を根拠欄に書いてください。
数える単位
数える単位の図:一致した行、文字列の一致、分類した表現、出来事の比較と、トークンの定義。